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鉄フライパンのお手入れ方法完全版【連載】

鉄フライパンのお手入れ方法完全版【連載】

一般家庭からプロの料理人まで、幅広い層に愛用される「鉄フライパン」。

高温に強く蓄熱性も高いため、野菜はシャキシャキに、お肉はこんがりジューシーに、素材のうまみを最大限に引き出すことができます。

一方で、適切なお手入れをしないとサビたり食材がくっつきやすくなったりするため、ハードルが高いと敬遠されがちな一面も。

そこで今回は、鉄フライパンの良さを最大限に生かし、長く愛用できるお手入れ方法を連載形式で紹介していきます。

扱いにくいイメージもある鉄フライパンですが、正しいお手入れの仕方を知れば、誰でも一生ものの道具として使っていくことができます。

お手入れが不安でなかなか購入に踏み切れないという方や、これから鉄フライパンを使い始めるという方は必見です。

サビたり焦げ付いたりした場合のお手入れ方法も紹介しているので、鉄フライパンの扱い方でお悩みの方や、今のお手入れを見直したい方も是非チェックしてみて下さい。

目次

1 鉄フライパンの特徴

1-1 メリット

1-1-1 使うほどに油が馴染む

鉄フライパンで目玉焼きを焼く

鉄フライパンの最大の特徴は「油馴染みのよさ」。
鉄フライパンは使い込むほどに油が馴染み、食材がくっつきにくくなっていきます。

最初は油の量や加熱の加減などが難しく、扱いづらいと感じることもあるかもしれません。
しかし、使い方のコツを掴む頃にはフライパンにも油が馴染んできて、だんだんと使いやすさを感じられるようになります。

使い手とともに育っていくのは鉄フライパンならではの魅力です。

1-1-2 耐久性があり長持ちする

テフロン加工などの表面加工のあるフライパンは、食材がくっつきにくくお手入れも簡単なため便利な反面、高温調理や金属へらなどによる傷が劣化の原因になってしまうことも。
気をつけて使っていても数年程度で寿命が来てしまう消耗品のため、定期的な買い替えが必要です。

対して鉄フライパンは、高温や傷などにも強く、適切なお手入れをしていれば一生ものと言われるほど長く使っていくことができます。
頻繁に買い替えずに一つのフライパンを長く使っていきたいという人にはおすすめです。

1-1-3 熱伝導率と保温性のバランスが良い

フライパンによく使われる材質を同じ厚さで比較したとき、熱の伝わりやすさは「熱伝導率」、全体としての保温性は「比熱×密度」で表されます。

熱伝導率と保温性のグラフ

出典:杉山久仁子 「加熱調理と熱物性」

このように比較してみると、熱伝導率も保温性も飛びぬけて優れている訳ではないように見える鉄ですが、実はこの「バランスの良さ」が大きなメリット。

例えばアルミは熱伝導率が高い一方で保温性が低く、反対にステンレスは保温性が高い一方で熱伝導率が低くなっています。
バランスに偏りがあり、得意分野と苦手分野がはっきりしているのが特徴です。

対して鉄フライパンは「平均点の高さ」が魅力。

保温性はステンレスに次ぐ高さで、一度温まれば熱を維持してくれます。
そのため、食材を入れた際の温度変化も少なくサッと火が通ります。
野菜は余計な水分が出ずにシャキシャキに、お肉は表面がカリっと焼き上がり、肉汁を閉じ込めて中はジューシーに仕上がります。

鉄フライパンでベーコンを焼く

熱伝導率はアルミや銅と比較すると劣りますがステンレスほど極端に低くはないため、火をつけたらすぐに温まるという訳にはいかないものの、予熱時間に関しては平均的な使い心地といえます。

ちなみに、鋭い方はもうお気づきかもしれませんが、熱伝導率と保温性の平均点の高さでいえば、実は鉄より銅の方が優れています。
鉄と同程度の保温性を持ちながら、熱伝導率もひときわ高いのが特徴です。
しかし、銅は衝撃に弱く、他の素材に比べて価格もかなり高いため、家庭用のフライパンとしてはあまり一般的でないのが現状です。

1-1-4 IHでも使用OK!火力は徐々に上げる

鉄フライパンは直火だけでなくIHでの使用もOK。
熱源を選ばないので、引っ越しなどでキッチンが変わっても使い続けることができます。

IHで使用する場合、急激に温度変化を加えるとフライパンが変形して使用できなくなる可能性があるので、火力には注意が必要です。必ず徐々に温度を上げるようにしましょう。

1-2 デメリット

1-2-1 お手入れをしないとサビやすい

鉄はサビやすい素材のため、鉄フライパンは適切にお手入れをしないとサビてしまう場合があります。
使用後は食材の汚れや水分を残さないように注意しましょう。

しかし、万が一サビてしまっても鉄フライパンは再生させることができるので、心配しすぎる必要はありません。

1-2-2 重い

鉄は比較的重量のある金属なので、軽いフライパンがほしいという人は特に注意が必要です。

釜浅商店で販売している「釜浅の鉄打出しフライパン」は、20cmで約720g、26cmで約1300gです(1kg=紙パックの牛乳約1L分)。
実際に調理する際はさらに食材の重さも加わることになります。

鉄フライパンの場合は、煽りながらというよりは置いた状態で焼く調理をメインに考えると使いやすくなります。
ただ、盛り付けや使用後のお手入れなどの場面では持ち上げる必要があるので、特に大きいサイズのフライパンを検討している人は重さのチェックも忘れないようにしましょう。

買う前に店頭で実際に重さを確認したり、今使っているフライパンの重さと比較してみたりすると失敗しづらくなります。

1-3 「鉄フライパンはゴキブリが出やすい」は本当?

ゴキブリに殺虫剤をかける

鉄フライパンは気になるけどなかなか購入に踏み切れないという人からは、「鉄フライパンをキッチンに置いておくとゴキブリが出ないか心配」という意見も。

「鉄フライパンはゴキブリが出やすい」というのは本当なのでしょうか?

1-3-1 原因は鉄フライパンの油だけとは限らない

ゴキブリには油を好む習性があるため、表面に油を馴染ませていくフライパンは、確かにゴキブリを呼び寄せる原因になることも考えられます。
しかし、コンロの油汚れや調理くず、生ゴミなど、他にもゴキブリが発生しやすい要素は様々。
「鉄フライパン=ゴキブリが出る」と安易に結び付けて敬遠する必要はありません。

1-3-2 キッチン周りの掃除など基本的な対策が大切

鉄フライパンの有無にかかわらず、「キッチン周りをこまめに掃除する」「ゴミを溜めないようにする」など、まずはゴキブリを寄せ付けないための基本的な対策をしていくことが大切。
駆除剤やゴキブリよけなどを使った対策も効果的です。

1-4 「自分にはハードルが高そうなのでやめた方がいい」と思い込むのはまだ早い!

初回使用前の準備、調理時の注意点やお手入れ方法など、鉄フライパンを使いこなすにはいくつかの手順やポイントがあります。

料理上級者向けの難しい道具というイメージを持たれがちな鉄フライパンですが、使い方もお手入れ方法も意外とシンプルなので、慣れてしまえばあっという間に日々の生活の相棒になってくれます。

次の章からは、鉄フライパンの使い方やお手入れについて詳しく説明していきます。
「なんとなく面倒そう」「自分には使いこなせなそう」と思い込む前に、是非チェックしてみて下さい。

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