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お米の研ぎ方の基本【今日からできる5つの手順を徹底解説!】

お米の研ぎ方の基本【今日からできる5つの手順を徹底解説!】

私たちの食卓に欠かせない「お米」。

お米の甘みや旨みを最大限に引き出すためには、正しい研ぎ方がとても重要です。
実は、お米を研ぐ工程には、炊き上がりを左右する大切なポイントが隠されています。

そこで今回は、お米の研ぎ方の基本を丁寧に紹介していきます。
今までなんとなく研いでいたという方は、これを機に一から手順を見直してみましょう。

今日から実践できる簡単なポイントばかりなので、是非ご家庭で試してみてください!

目次

お米を研ぐ理由は「汚れやぬかを洗い流すため」

升にお米が入っている

精米されたお米の表面には、汚れやぬかがついています。
お米を研ぐことで、表面に付着している汚れやぬかを洗い流し、風味のよいごはんを炊くことができます。

Step1 キッチンスケールやお米専用の計量カップで正確にはかる

お米をはかる際は、正確に計量することが大切です。
1合=約150gを規準に、キッチンスケールなどを使って正確に重さをはかりましょう。

お米をボウルに入れてキッチンスケールで重さを量っている

重さではなく容積をはかる場合は、炊飯器や米びつなどについているお米専用の計量カップを使うようにしましょう。
一般的な調理用の計量カップは1カップ200mlですが、お米用の計量カップは1カップ180ml(=1合)になっています。

一度カップに山盛りにお米をすくい、お箸などを使ってすりきりにしてはかることが正確な計量のポイントです。

Step2 良質な水で素早くすすぐ

お米が浸かるくらいのたっぷりの水を加えたら、2~3回やさしく全体をかき回し、素早く水を捨てます。

水を張ったボウルの中に入っているお米を手でかき回している

ボウルに入った米の研ぎ汁をシンクに流している

ここではとにかくスピードが大切です。
あらかじめ水を張ったボウルにお米を入れるか、一気に水を加えられるように必要量の水を用意しておくのがベスト。

お米を入れたボウルに蛇口などから水を注ぐ方法は、水がたまるまでの間に流れ出たぬか臭さをお米が吸収してしまうため、実はあまりおすすめできません。

また、乾燥状態のお米は最初に入れた水を一気に吸収するため、一番最初のすすぎには浄水器やミネラルウォーターなどの良質な水を使うのがおすすめ。
硬水を使うとお米がパサつきやすいので、ミネラルウォーターを使う場合は軟水を選ぶようにしましょう。

ポイント:水温は常温以下がおすすめ

研ぎに使う水の温度は常温(20℃)以下がおすすめ。
水温が高いと短時間でのお米の吸水力が高まるため、研いでいる間にぬか臭さまで吸収してしまう原因になります。

また、お米は加熱される際に酵素が糖を生成することで甘みを増しますが、お湯で研いでしまうと研ぎの段階で酵素がはたらき、甘味成分が研ぎ汁と一緒に流れ出てしまいます。

さらに、研ぎの水温が高いとお米の表面に粘り気が出てしまい、中心部まで水が浸透せず芯が残りやすくなってしまいます。

お米のおいしさを最大限に引き出すためにも、常温以下の水を使うようにしましょう。

Step3 20回程度かき回すようにしてやさしく洗う

お米同士の摩擦を利用するため、すすぎ終わって水がほとんどない状態からスタート。
ボールを持つように軽く手を握り、同じ方向に20回程度シャカシャカとかき回すように研いでいきます。

ボウルに入ったお米を手で研いでいる

現在は昔よりも精米技術が向上しているため、あくまで汚れを洗い流す程度でやさしく研いでいくのがポイント。
力を入れてゴシゴシ研ぐと、お米が割れる原因になってしまうので注意しましょう。

Step4 水を3回程度入れ替える

お米を洗い終わったら、ボウルに水を入れて研ぎ汁を捨てる工程を3回程度繰り返します。

ボウルに入ったお米に水を注いでいる

ボウルに入った米の研ぎ汁をシンクに流している

ボウルの底に研ぎ汁が残りやすいので、底の方まで軽く混ぜてから水を捨てましょう。

入れ替えの際に使う水は水道水でもOKです。

Step5 良質な水で浸水させる

3回程度水を入れ替えたら、最後にもう一度水を注ぎます。

ボウルの中に研ぎ終わったお米と水が入っている

このとき「お米がうっすら透けて見えるくらい」になっていたらそのまま浸水してOK。
水が透明になるまで入れ替え作業を繰り返すと、お米の旨みまで流れ出てしまうので注意しましょう。

浸水に使う水には、浄水器やミネラルウォーターなどの良質な水を使うとよりおいしく炊き上げられます。

浸水は「糊化」と「糖化」に欠かせない工程

お米のでんぷんは「糊化(アルファ化)」と「糖化」によって変化し、甘みや粘りを生み出します。
このプロセスをスムーズに進めるために、浸水が重要な役割を果たします。

糊化(アルファ化):お米がやわらかく弾力のある食感になる

お米に水と熱が加わると、でんぷんが糊状に変化し、やわらかく弾力のある食感になります。
しっかりと浸水することでお米が水分を吸収し、内部まで均一に糊化させることができます。
お米を十分に浸水せずに炊飯すると、水分不足により中心部のでんぷんが糊化しにくく、芯が残ったごはんになってしまいます。(出典:檜作進「炊飯とでんぷんの老化」

糖化:お米の甘みが増す

お米には複数の酵素が含まれており、酵素がでんぷんを分解して糖を生成することで、自然な甘みが生まれます。
酵素は水分が存在する環境で最も効果的に作用するため、お米をしっかり浸水させることが大切です。
浸水不足だと糖化が進みにくく、お米の甘みを十分に引き出すことができません。

浸水時間は季節ごと(水温ごと)に変える

水の温度によってお米の吸水率が変わるので、浸水時間も季節(水温)によって変化させることがポイントです。

夏場(水温が高い場合): 30分程度

夏は水温が高くなり、お米が水を吸収しやすいため、比較的短い浸水時間で十分です。
暑い時期は特に雑菌が繁殖しやすいため、常温のまま長時間浸水させることは避けましょう。
長く浸水させる場合は、冷蔵庫に入れておくのがおすすめです。

冬場(水温が低い場合): 60~90分程度

冬は水温が低くなり、お米が水を吸収するのに時間がかかるため、長めの浸水時間が必要です。

上記を目安に、好みの炊き上がりによって浸水時間を調整してみましょう。

浸水に関する研究では、米粒の細胞膜、デンプン粒の膨潤度、重量増加率の点から、浸水は2時間も行えば十分であると報告されています。(出典:関千恵子,貝沼やす子「米の調理に関する研究(第2報)」
逆に浸水時間が長すぎるとお米のでんぷんが溶け出してべたついたごはんになってしまうので、長時間の浸水には注意が必要です。

また、炊飯器で炊く場合は浸水の工程がプログラムに組み込まれていることもあるので、取扱説明書をよく確認するようにしましょう。

まとめ

今回は、お米の基本の研ぎ方について紹介させていただきました。
最後にもう一度手順とポイントをおさらいしておきましょう。

①お米を正確にはかる
②常温以下の良質な水で素早くすすぐ
③20回程度かき回すようにしてやさしく洗う
④水を3回程度入れ替える
⑤良質な水で浸水させる(夏場:30分程度、冬場:60~90分程度)

なんとなく済ませてしまいがちな「お米を研ぐ」という作業ですが、簡単なポイントを意識するだけで毎日のごはんをよりおいしくすることができます。

是非今日からご家庭でも試してみてください!